Google OS実験室 ~Moonlight 明日香~

GoogleのAndroidで遊び始めて, すでに6年以上が経った. Androidは思った以上の発展を遂げている. この技術を使って, 新しいことにチャレンジだ!!

脈拍センシングにチャレンジ(3)

前回, FFTを使って脈波データから脈拍数を求められそうと記したが, 生体信号の分野は素人なのでいろいろと調べていると, 私設研究所ネオテックラボ[1]の上田氏が, 以下のように記している. [2]

   脈拍は非定常な安定しない波です. 脈拍に限らず生体の信号は全部周期が定常ではありません. 
   ですから『FFT(Fast Fourier Transform)の解析で周波数成分を抽出する』という考え方は全く無意味な行為であり, 正しい結果が得られません.
   何故ならFFTは同じ状態が永遠に継続する事を前提とした変換であるからです.


そこで, 脈拍数をFFTを使って求めることはやめ, 脈波のピーク抽出を行い, ピーク間隔から脈拍数を算出することを検討してみる.

1. ボトム間隔
 カメラの輝度変化は血管拡張時に入射光が少なくなり暗くなるので, 脈波データのピーク間隔ではなく, ボトム間隔から脈拍数を算出する.

sensor01

ボトム間隔から脈拍数を求める式は, 以下の通り.
        
  脈拍数 = ( FPS * 60 ) / Tf        
  ただし,  FPS : フレーム/秒, Tf : ボトム間フレーム数

FPS=30として, 各ボトム間隔から脈拍数を計算すると, 以下のようになる.

間隔[frame]脈拍数
12475
22475
32378.3

2. ボトム位置抽出
 脈波データからボトム位置を抽出するために, まず矩形波相関フィルタ[3]を使って脈波データのゆらぎの影響を抑え, ボトム位置を検出する.
矩形波相関フィルタを使用することによりボトム位置の時間的ずれが生じるが, 今回は同期位置検出とかではなく脈拍数の算出であり, 特に問題ない.

2.1 相互相関処理
 具体的には, 輝度値に対して, 以下のような矩形パルス窓を使って, まずは相互相関値を求める.
window01

輝度値から相互相関値を求める式は, 以下の通り.

  y(t) = (-1) * (x(t) + x(t-1) + ・・・ + x(t-n+1))
       + (+1) * (x(t-n) + x(t-n-1) + ・・・ + x(t-3n+1) + (-1) * (x(t-3n) + x(t-3n-1) + ・・・ + x(t-4n+1))
  ただし, y(t) : 相互相関値, x(t) : 輝度値, n : 1/4窓幅のフレーム数

実際に測定値でやってみると, 以下の通り.

window02

2.2 ボトム位置検出
 ボトム位置は, とりあえず相互相関値で以下の条件を満たすフレーム位置を探索する方法で試してみるが, 実際にいろいろなデータで試してみる必要がある.

   y(t) - y(t-1) > 0 && y(t-1) - y(t-2) ≦ 0

上記で検出されたボトム位置間隔から脈波数を求める.

次回はこれを実際にAndroid上に実装して動かしてみる.
安定して脈波データが取得できる場合は, 多分これで脈拍数の測定が可能と思われる.
ただ, 実際にはスマフォのカメラに指をあてて輝度を測定するので, 常に安定して脈波データが取得できるわけではない.

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参照URL:
[1] 私設研究所ネオテックラボ
[2] 【俺センシング】『PCのカメラで非接触バイタル・センシングができる』
[3] 特公平7-67440

脈拍センシングにチャレンジ(2)

今回は, カメラで撮影した指の映像から心拍数が正しく求められるか, オムロンの血圧計での測定とカメラでの指の撮影を交互に5回行い, カメラで撮影した映像から心拍数を算出し比較してみた.

1. 輝度変化
 まずは, カメラで撮影した画像から安定して輝度の変化が得られるか調べてみた.
5回の撮影データについて, R/G/Bプレーン毎に輝度変化を調べてみた.

graph01
graph02
graph03
その結果, 測定(1)や(2)のようにR/G/Bすべて安定して脈波が観測できる場合と, 測定(3)や(5)のようにG以外はあまり脈波が観測できない場合があった.
そこで, 心拍数の計測にはGプレーンの輝度変化を用いることにした.

2. 周波数分析
 FFT(高速フーリエ変換)を用いて輝度変化の周波数分析を行い, 心拍数が正しく求められるか確認してみる.
心拍変化は0.8Hz~3Hz程度なので, バンドパスフィルタにより分析する周波数帯域を制限してからFFTすべきだが, 簡易的に差分(y[n] = x[n]-x[n-1])と移動平均(y[n]=(x[n]+x[n-1])/2)を使用することにする.
*注) FFTにはAkiyama氏のFFT-PLOT(フリー版) [1]を使用.
graph03
graph04

FFT
解析サンプル数128256512
基本周波数(Hz)1.4171.2941.350
心拍数85.077.681.0

波形データを目視でチェックしたところ80拍だったので, FFTの解析サンプル数は心拍数が最も近い512を採用する.

3. 測定結果
5回の測定結果は以下の通り.

回数目視カメラオムロン
1808183
2787474
3828175
4818175
5828176

波形データの目視チェックによる心拍数とカメラによる心拍数はかなり近い値となったが, オムロンでの測定値とは少しずれがあった.
一応, 心拍数が測れそうなので, この考え方をベースにプログラミングすることにする.
また, オムロンの測定値とのずれは, 同時測定や他の機器との比較などして引き続き検証はやっていく予定.

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参照URL:
[1] 高速フーリエ変換(FFT-PLOT)

 

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